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汚職・腐敗と闘う国際NGO


ブログblog

2018年7月17日

日経新聞にコメントが掲載された折、理事長の若林が記者の方から3つ質問を受け、文書で回答しました。紙面には載らなかった部分をここに転載します(一部日経への回答後に追加)

①ータイを含む東南アジア諸国では汚職(贈収賄)が商慣習として根強く残っているとの説がございます。この点に、実態をお教え下さい。

「トランスペアレンシー・インターナショナル(腐敗を防ぐ国際NGO、略称TI)では、世界の公務員の精錬度度合い(汚職に屈しない度合い)を毎年点数化しランキングしている。CPI、腐敗認識指数という。これで見るとタイは
2017年の調査で96位(37点)。日本が20位(73点)と比べるとかなり低い。TIの別の調査で、過去一年に公務員相手その他公共サービスにおいて賄賂を贈ったことがあると答えた人の割合はタイで41パーセント(2016年)、日本の0.2
パーセント(同)に比べると多い。
 タイでは従来日本のような道徳教育がなく、賄賂をもらうことが悪いことであるという概念が薄かった。
 特に税関において係官が賄賂を要求するということが多く、タイ国内でも問題になっていた。
 この事件はタイにおいて多国籍企業が直面する典型的な賄賂事件である」

②ーそうした文化のなかで、東南アジアに進出している企業の社員はどのように対応しているのでしょうか。伝聞されたエピソードでも結構ですので、日系企業の駐在員の苦悩などにちてお話し頂ければと思います。

「『賄賂』というと、不正な利益を得るためのもので、払うほうが悪い、というイメージだ。
 だが、東南アジアに進出している企業が直面するのは違う性質のものだ。会社の設立登記をする、資材を陸揚げする、工場に電気を引く、操業許可を得るための検査に来てもらう、といった手続きを進めるにあたり、現地の公務員がなかなか許可を出してくれない、催促すると「something」と賄賂を要求してくるといったケースだ。ある企業では、アジア某国への進出にあたり、電気の開通に賄賂を要求され拒んでいたら2年間開通してもらえなかったと聞く。
 このように通常の行政手続きの円滑化のために少額の支払いを要求されることが多い。『ファシリティ・ペイメント』『グリース・ペイメント』などと呼ばれる。これは、国際商取引において営業上の不正な利益を得るために金銭を渡すこととは異なるため、2015年7月まで経産省の贈賄防止指針で違法ではないと明示されていた(そのOECDなどから批判を受け、後経産省は指針を改定し、ファシリティ・ペイメントを容認しなくなったので注意)。
 アジア各国でも近年、国連腐敗防止条約(UNCAC)を締結し、公務員の収賄を禁止しているが、法と実態の乖離が激しい国もある。

③ー上記を踏まえて、現地に進出する日系企業に求められているのはどんなことでしょうか。

 日本企業のビジネスマンが海外に行くと、不正競争防止法などの日本法のほか、現地法が適用される。アメリカやイギリスに拠点のある企業なら、日本法より格段に厳しい英米の贈賄防止法も適用されうる。各法の贈賄防止の精神は同じだが、法により賄賂の定義や罰則が異なる。だから、赴任前に研修等で法制度を知っておくこと、海外の贈賄防止法は年々厳しく改正されているので、アップデートも怠らないことが大切。
 また、港の荷揚げで賄賂を要求されたというのは、賄賂の典型例のひとつ。現地事情および賄賂の典型例を事前に研修等で触れておき、その対処例(断り方)もしミュレーションしておくといい。

 ここからは筆者(若林)の私見であるが、今回の司法取引(合意制度)は有意義と思われる。贈賄の捜査で有罪として決着せず、捜査協力して和解し制裁金を払うことは、アメリカの司法当局でも最近の趨勢であるとTIの理事である弁護士から聞いている。捜査期間を短縮し、捜査費用=税金を節約できるため、国民にとっても有意義である。内部告発を真摯に受け止めもみ消さずに企業が捜査当局に自ら相談し対処したこともよかった。そうでなければ、贈賄額が膨らんだり日本より執行が厳しい米英法などで罰せられ巨額の罰金が課される可能性があった。

*7月24日文の末尾を訂正 制裁金があると勘違いしていましたが課されてなかったので記述を変えました。

 この件については、今後も当法人フェイスブックに適宜掲載する予定です。(理事長 若林亜紀)

2017年1月17日

これから、ブログを休止し、フェイスブックで近況やイベント、調査報告をお知らせします。写真や図、リンクが盛りだくさんの双方向のページを目指します。

2016年11月4日

イギリスより企業情報開示の専門家来日

こちらのイベントに参加しました。

日本でも経済産業省法人ポータルの提供が始まります。企業情報の一覧です。

来年から本運用だそうです。

2016年10月26日

日経新聞などで報じられたように、9月28日から韓国で贈賄防止の新法が施行されました。こちらが英訳です。
Korea Improper Solicitation and Graft Act」(通称金英蘭法(キムヨンラン法)
   韓国
ACRC(国民権益委員会)HPより

ACRCは公正取引委員会のような政府の一組織です。TI韓国支部が政府に働きかけて設立されました.

2016年8月24日-4 

TI-J顧問の西垣建剛弁護士が関わった日弁連の贈賄防止ガイドラインが7月に発表されました。

  http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/160715.html

2016年8月24日-3 

台湾のセミナー報告                             TI-J顧問 西垣建剛(弁護士)
 621日から23日にかけて、台湾の防衛省を訪問し、同省の透明性に対する取り組みについて議論をするなどのイベントに参加しました。同省では、日本と同様、防衛に関する透明性評価につき、特にOperation(防衛活動)における透明性の取り組みが低いとの評価を受けていますが、それは海外への展開の機会が少なく、リスクベース・アプローチの観点から、その透明性に力を入れる必要が少ないからであるという見解を述べました。また、同省の透明性に関する監察官とTI-Taiwan, TI-Korea, TI-Singaporeと透明性に関する取り組みにつき、グループミーティングを行いました。その際、日本の防衛省における透明性の取り組みについてプレゼンテーションを実施しました。

2016年8月24日-2 

 TI-Jが昨年来行ったG20実質的所有者の透明性にかかる国際取組の履行監視調査について、日本の外務省がG20の腐敗防止委員会で、委員であるTI本部の担当者に謝辞をくれました。

2016年8月24日-1 

英国大使館での金融の清廉性啓発セミナーは盛況のうち終了しました。

TI-Jでは6月1日に英国大使館で「実質的所有者情報開示とデューデリジェンス」セミナーを開きました。

そこでの内容の一部及び背景をお伝えします。
2014年、G20サミットで「実質的所有者の透明性にかかるハイレベル原則」が採択されました。脱税や贈収賄の温床でもあるペーパーカンパニーや要人とつながりの深い法人の所有者情報開示で各国が一致、法整備。 PEPs(政治的影響力のある者とその経験者、家族)への送金の監視が強化されました。

  日本は2015年犯罪収益移転防止法改正で運用。これにより金融機関などによる監視が強化されました。疑わしいあれば当局に報告します。

登壇者の三菱東京UJF銀行コンプライアンス統括部中雄大輔チーフ・アドバイザーによると

「顧客から依頼された外国向け送金が外国向けPEPSであることが取引モニタリング(取引実施後のモニタリング)などで判明すれば、調査し、その結果を踏まえて法令(犯罪収益移転防止法)に則った対応をとる」とのこと。

 当局では国際捜査扶助等に関する法律18条において国際刑事警察機構(インターポール)を通じた海外機関からの協力要請があれば情報提供します。
 

日本の警視庁の犯罪収益移転防止対策室でも、外国当局との間で積極的に情報交換しています。2015年は疑わしい取引に関する情報の分析の結果、浮かび上がった不自然・不合理な海外向けの送金又は海外からの送金について、情報提供要請を183件行ったほか、330件の情報交換を実施したそうです(警視庁の犯罪収益移転防止対策室JAFIC 年次報告書)

  つまり、ワイロが露見しやすくなった、またはワイロと認定されうるような海外の政治家関連法人への送金情報への各国捜査当局からのアクセスが容易になったのです。

  2011年に施行した英国Bribery Act の執行も本格化しています。

  よりいっそうのガバナンスの備えが必要です。

2016年4月20日 

パナマ文書について

「パナマ文書」が話題になっています。

タックスヘイブンでの法人設立を代行する中米・パナマの法律事務所の顧客リストが大量流出し、政治家や有名人・企業の資産隠しや脱税・節税が明るみになる予定とか。

 トランスペアレンシー・インターナショナルでは10年ほど前にタックス・ヘイブンへの規制を呼びかけるキャンペーンを始めました。タックス・ヘイブンはワイロなどの不正な資金の隠し場所や脱税、マネーロンダリングに使われることが多いためです。案の定、パナマ文書では習近平氏の親族やプーチン氏の友人がパナマに莫大な資産を預けていることがわかっています。

 タックス・ヘイブンはテロ資金などの送金の中継地点にも使われます。そのため、マネーロンダリングやテロを封じ込めたい先進諸国の思惑とも一致しました。2014年のブリスベンサミットで首脳たちが「実質的所有者情報の透明性を高めるためのG20原則」を策定しました。これを受け、日本も2015年に犯罪収益移転防止法を改正し、政省令で金融機関などに顧客管理において「実質的支配者」を確認する旨規定しています。銀行などは顧客が反社会的勢力の関係者ではないかとの本人確認を行っていますが、それが強化されています。

 トランスペアレンシー・ジャパンは4月に「資金洗浄対策へのG20各国の取組」を翻訳出版予定で、6月にはセミナーを開きます。

 もしも世界の政府首脳らを世界の「表」の登場人物とするなら、テロ組織や犯罪者は「裏」の人物ということになります。

 ここ数年、先進諸国は世界の「裏」の資金を封じ込めるための対策を進めてきました。聞くところによると、政治家らは及び腰で各国とも官僚主導で進めてきたとも言われています。これだけでも大きなよい変化で、多国籍企業は変わる法制への対応に追われています。けれども、パナマ文書は世界の表の部分の資金洗浄も明るみに出すものと思われます。そのためサミットを控え各国は対応を迫れており、パナマに法人をもつ企業も対応に戸惑っていると思われます。

 トランスペアレンシー・インターナショナルは2014年jから「No impunity(公然と行われている不正を見過ごさない、あきらめない)」という方針を打ち出しています。

 企業の贈収賄対策は、これまでは「違法行為にならないように気をつける」だったのが、最近は「合法であっても道義的に不正な行為は行わない」という方向に変化しています。露見したときに悪名となる、法制が刻々進化するからなどの現実的な理由もあります。また、OECD諸国はお互いに進出先の国の公務員にワイロを贈らなようにしようという贈賄防止条約を結んでいます。

 タックスヘイブンの利用も「脱法だが違法ではないからやる」から「脱法なので控える」という方向へ変化していくかもしれません。また、国際社会でタックスヘイブンへの資産移転を制限しようとする動きもあります。5月にも公開されるというパナマ文書は、国際的な腐敗防止の流れを加速する出来事になるでしょう。

 なお、トランスペアレンシー・インターナショナルのチリ支部の機能を兼ねるトランスペアレンシー・チリの代表の名前が「パナマ文書」にあることがわかり、辞任しました。トランスペアレンシー・インターナショナルの各国支部は本部との上下関係にあるのでなく、対等の加盟関係です。そのため、国により支部の構成もさまざまで、チリの代表職は公人の名誉職になっていたようで、今回の事件につながったようです。

 実はトランスペアレンシー・ジャパンの代表である私も1990年から91年にかけ、勤めていた建設会社で海外投資の便宜のためにパナマ法人を設立し、担当者として役員となりました。これは個人的なものでなく業務上のもので、役員報酬はなく、建設会社の退社と同時に役員も辞任しました。会社としても海外投資の便宜のためで、資産隠しや脱税・節税の意図はなく、パナマ法人の収益は連結決算とし納税していました。また、その後、規制緩和でパナマ法人を介する意味がなくなり、建設会社ではパナマ法人を2000年に解散しました。

  最後に、6月のセミナーは日経新聞4月4日の法務面に紹介されました。

理事長 若林亜紀

2016年2月24日 

トランスペアレンシー・インターナショナルの世界腐敗報告(GCR)のスポーツ編の関連記事が時事通信に載りました。

時事通信「サッカーファンの3分の2がFIFAに不信感、NGO調査
時事配信のヤフーニュース(コメントできます)

2016年2月24日 

トランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数(CPI)が日本経済新聞に載りました。
22日付け朝刊です(冒頭のみ無料ネットで読めます)。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO97520060Q6A220C1TCJ000/
また、CPIは発表当日に時事通信、TBSテレビ、フジテレビなどで報じられました。
時事通信のニュース
発表翌日はTOKYO FM「中西哲生のクロノス」という朝のラジオに理事長の若林が電話出演し解説させていただきました。

2016年2月12日 

マネーロンダリング対策の世界の潮流、日本の法改正について4月にセミナーを行います。ドイツの本部が金融の清廉性向上プロジェクトについて2015-2016年度にアメリカのオミダイア財団
(E-bay創設者オミダイア氏の財団)の助成を受けることになり、世界各国で普及啓発事業を行います。
日本ではトランスペアレンシー・ジャパンがセミナーを行います。

2015年12月7日 CPI発表は1月27日(水曜日)

今回よりCPIの発表時期変更になりました。 例年12月でしたが、クリスマス・年末休暇と重なるため、1月に変更することになりました。
 

2015年11月27日 TIがG20の資金洗浄対策への加盟国の取り組みについて報告書を発行


 トランスペアレンシー・インターナショナル(本部ベルリン)は、トルコのG20(20か国・地域の首脳会議)の主要議題であった、金融活動作業部会(FATF)の指針に基づく各国の金融規制の強化を市民団体としてモニタリング(監視)して報告書をまとめました。

各国政府はテロ対策として金融規制の強化に取り組んでいます。一方、TIは腐敗をなくす市民団体の立場から、不正な贈収賄の隠れ蓑となっているマネーロンダリングを減じるために、国際金融取引の透明化の動きを支持しています。

日本については、TI-Jの西垣建剛顧問が中心となって報告書を作り、外務省がとりまとめて金融庁・警察庁などが積極的に検証してくれました。

さて、TIのレポートを紹介します。

以下が内容紹介の簡約です。追って全文の簡約を掲載します。また、英文版へのリンクもご紹介します。

『見かけだけ? G20諸国の実質的所有者の透明性確保の取組状況調査』ベルリン 2015年11月12日

ニュースに登場するような汚職スキャンダルにはしばしば共通性がある:事件の中心にいる人々は、匿名の会社、信託組合、法人に不法に得た資金を送る。隠ぺいのために複数の国にいくつもの法人を置き、これらを複雑に組み合わせる。犯人はしばしばプロの仲介サービスや銀行を使い、お金と資金を動かすか隠し、最終的に合法な物に変える。不動産会社や贅沢品の販売業者が関わることもある。

近年、これら企業の隠れ蓑や信託組合の悪用に対抗する手段が取られてきた。すなわち、最終的に誰が所有し、支配しているか、または誰が利益を得ているかについての透明度を増大させる取り組みである。201411月に行われたブリスベーン・サミットでは、G20の20カ国の首脳たちは、金融の情報公開を「最優先」問題と評して実質的所有者の透明性にかかるハイレベル原則を採用した。G20原則は金融活動作業部会(FATF)の勧告を基にしている。それはマネーロンダリング対策を国際標準にするという決意である。FATF勧告は2012年に強化された。それに応じて法律の枠組を強化する国があるかもしれない。

G20原則が法制化され、加盟国でより効果的に執行されることが重要である。20157月に、トランスペアレンシー・インターナショナルは、詳細な国際調査を行い、各国政府がどのように、マネーロンダリング対策の法律の枠組を設けているかを確認できるよう Technical Guide13を出版した。今回の報告書『見かけだけ? G20諸国の実質的所有者の透明性確保の取組状況調査』では、G20加盟国が、宣言採択から1年経って法整備その他の関与を実行しているかどうかを評価した。この基調分析では、年ごとの進歩が監視でき、加盟国の現在の強制力の程度を識別できる。各国でG20原則の実務に関わる専門家によるアンケートから収集したデータを活用している。 

 報告書は、実質的所有者の透明性確保を強化するための法改正の余地がある国において議論を巻き起こすことをめざす。また、私達は、各国のより詳細な分析も出版する。各国横断の分析は、G20原則に基づいてどのような法律を整備するべきかを識別するのに役立つだろう。トランスペアレンシー・インターナショナルは、法がある国に対しては、その国の司法制度に、不法な金融の流れを止めるために法執行を強化すること、また、管轄官庁、すなわち警察だけでなく税務署や金融庁の業務強化を求める。

 TI 報告『資金洗浄対策へのG20各国の取り組み』

 資金洗浄対策 日本の取り組み

2015年 11月 4日  国防における汚職防止指標の国際比較について

         アジア・太平洋地域における国防の情報開示にかかる比較調査
          
トランスペアレンシー・インターナショナルUK発表

 腐敗の少ない社会の実現を目指す国汚職・腐敗防止のための国際的NGO、トランスぺアレンシー・インターナショナル(略称:TI、本部ベルリン)のイギリス支部は、4日(木)標記の報告を発表しました。
  報道資料
 GI2015JapanPressRelease.pdf へのリンク
  報告書 和訳 全20ページ
 1511TIUKDSPGIAsiaPacificJapnaese.pdf へのリンク
 

2015年10月6日 東洋経済オンラインでCPI(腐敗認識指数)が紹介されています


東洋経済オンラインでトランスペアレンシー・インターナショナルのCPI(腐敗認識指数)が紹介されています。
東洋経済オンライン 海外贈収賄という甚大なリスク 

2015年10月6日 G20の資金洗浄対策への日本の取り組みについて外務省が修正協力


 不正のない社会をめざす国際NGO、トランスペアレンシー、インターナショナル(本部 ドイツ・ベルリン)では、
G20諸国の実質的所有者の透明性確保の取組状況調査」を行い、支部を通じて各国のフィナンシャル・インテグリティ(財務の健全性、金融上の清廉性、あるいは金融上の真摯さ)についての法制を調査しました。

日本支部であるトランスペアレンシー・ジャパンでは、顧問の西垣建剛弁護士が中心になって、日本の状況をとりまとめています。 

 これについて外務省に修正・コメントを依頼したところ、金融庁、警察庁にも連絡して修正・コメントをしてくれましたので掲載します。この問題について政府も積極的に取り組んでいることがわかりました。 

 関連して、日本では国際テロリスト財産凍結法が施行になります。 国際送金は、テロ資金というだけでなく、ワイロ隠しのために行われることもあります。TIではそれを防ぐために、金融の清廉性を各国政府に求めていきます。また、TI-Jとしては、それがかえって権力の濫用につながらないよう、政府の説明責任や個人情報の保護も担保されることを求め、注視していきます。以下がが修正後の回答です。 

tiQuestionBOJapan1509.pdf へのリンク

http://www.yomiuri.co.jp/national/20150929-OYT1T50082.html

2015年9月24日 腐敗防止世界大会出席報告 理事 池田毅(弁護士)

 2015年8月31日・9月1日にトランスペアレンシー・インターナショナルのAnnual Membership Meeting (AMM)が、マレーシアのプトラジャヤ(Putrajaya)において開催されました。

 AMMに先立つ8月30日には、アジア太平洋地区のTI支部が集まるRegional Meetingが開かれ、支部同士の意見交換がなされ、活発に活動するオーストラリア支部の成功体験などが話されました。日本からは、近時の外国公務員贈賄防止指針の改訂(注)などに)ついて紹介しました。

 2日間にわたるAMMでは、この1年間のトランスペアレンシー・インターナショナルの活動内容が報告されました。さらに、これからの5年間における活動計画であるTI Strategy 2020の内容が議論され、承認されるとともに、「Impunity(汚職が処罰されないこと)を正当化させない」、「汚職の利益の秘匿に利用される租税回避や不正な送金等を許さない」「マレーシアで騒がれている汚職問題について、独立した調査を行うことを約束させる」といった内容の決議が採択されました。いずれの決議についても、議長が終わりを宣告するまで各国代表からの質疑が尽きることがなく、他の国際会議と比較しても極めて活発な議論が展開されていることに驚きました。

 TI Strategy 2020についてはAMMでの議論を経た最終版が間もなく公表される予定です。公表され次第、本ブログでもご紹介いたします。)

 さらに、AMMの最後には、トランスペアレンシー・インターナショナルの改選理事の選挙が行われ、改選枠2名に対し3名が立候補し、素晴らしいスピーチを行ったレバノンのNada Abdelsater-Abusamraさんが新たに選出されたほか、同じアジアで日本の活動にも理解が深いバングラデシュのIftekhar Zamanさんが再選されました。

 AMM閉幕後の9月2日から4日には、ほぼ隔年で開催され、今回で16回目となるInternational Anti-Corruption Conference (IACC世界腐敗防止大会)が同じプトラジャヤのPutrajaya International Convention Centre (PICC)で開催されました。同大会には、トランスペアレンシー・インターナショナルの関係者のほか、マレーシア汚職防止委員会(MACC)の職員や大学の研究者など、汚職問題に関心をもつ多くの関係者が参加しました。3日間の大会では、金銭ではなく、性的な利益提供による汚職(Sextortion)や、ジャーナリストが危険を避けながら汚職を追及・発見する方法など、日本ではなじみのない汚職問題のさまざまな側面を垣間見ることができました。

 AMMとIACCが開催されたプトラジャヤは、国際空港と市街地の間に、首都機能の移転先として建設された比較的新しい街です。マレーシアの首相も関係する汚職の問題が騒がれる中、現役閣僚がスピーチを行うなど、日本では考えられないような公開討論が行われていました。

(注)外国公務員贈賄防止指針の改定

2015年9月24日 腐敗防止世界大会を終えて 
トランスペアレンシー・インターナショナル会長 ホセ・ウガスの声明

Dear Friends

As you know, our formal Annual Membership Meeting took place in Malaysia on 01 September 2015, preceded by numerous meetings and followed by a vibrant 16th International Anti-Corruption Conference (IACC).

This message is to highlight to those of you who could not attend important decisions and developments at and around these meetings and to invite feedback from those of you who were present by way of a short survey by 11 October 2015. 

Highlights of the 2015 AMM are summarised in a short video message from Elena and me. 

Reports of the AMM side meetings can be found at:

https://ticz.transparency.org/OurMovement/AMM-Home/AMM2015/SitePages/AMM%202015%20Session%20Reports.aspx

As explained in the video, very importantly for our Movements direction of travel in the years to come, the Meeting approved the TI Strategy 2020 with a few amendments and the final version will be circulated shortly. 

Nada Abdelsater-Abusamra of the Lebanese Transparency Association was newly elected to the TI Board while Iftekhar Zaman of TI Bangladesh was elected for a third term. The Board and the AMM expressed their thanks to Sergej Muravjov of TI-Lithuania who could not run for election this year since our Charter provides for a statutory break after two consecutive terms. 

Not least notably, our AMM  passed three resolutions this year:

        On reconciliation and amnesty laws that should not legalise impunity.

        On tax evasion and illicit financial flows.

        On the situation in Malaysia asking for independent investigation in corruption charges and protection of anti-corruption bodies from political intervention.

A corresponding press release about these resolutions can be found here.

And indeed, our AMM did not happen in a vacuum. You may have seen our press release on 29 August calling on the Malaysian government to respect the right of civil society to demonstrate peacefully against corruption (http://tinyurl.com/ok3gko6), my opening speech of the 16th IACC (here a video abstract) and Elenas address at the closing plenary, making it clear that TI would keep the Malaysian government to its pledge to protect the Malaysian Anti-Corruption Commission.

Our press release closing the 16th IACC can be found here: http://www.transparency.org/news/pressrelease/
16th_iacc_delegates_vow_to_seek_criminal_sanctions_for_the_corrupt_and_retu

On behalf of the TI Movement, the Board thanks TI-Malaysia for hosting us on the occasion of these meetings, stressing our ongoing support to them and the fight against corruption in Malaysia.

With best wishes-

Jose

2015年9月11日 「リスクマネジメント TODAY」に「腐敗指数でみる贈賄事情」を寄稿


 リスクマネジメント協会発行「リスクマネジメント TODAY 」vol.92 2015年9月15日号に、当法人理事長の若林亜紀が寄稿しました。「腐敗指数でみる世界の贈賄事情-清廉な国ニホンで贈れる贈賄防止法の執行」という記事です。日頃会員企業からTI-Jに寄せられる質問や、企業研修で要望のあった事項をもとに、日本と取引の多い国の贈賄事情を書きました。また、トランスペアレンシー・インターナショナルの各国支部の担当者のコメントや、中国の贈賄事情については昨年英国大使館で行った読書会の国際セミナー講師であったベーカー&マッケンジー法律事務所の中国人弁護士のお話を引用しました。

2015年9月1日 G20の資金洗浄対策への日本の取り組みについて英文で報告


 不正のない社会をめざす国際NGO、トランスペアレンシー、インターナショナル(本部 ドイツ・ベルリン)では、
G20諸国の実質的所有者の透明性確保の取組状況調査」を行っております。本件は米国オミダイアー財団からの寄付金によるもので、トランスペアレンシー・インターナショナルの支部を通じて各国の現状を調査しています。

日本支部であるトランスペアレンシー・ジャパンでは、顧問の西垣建剛弁護士が会員とともに、日本の状況をとりまとめ6月下旬に提出しました。11月に本部でとりまとめの報告書を発表する予定です。

内容は、昨年11月の豪ブリスベンでのG20で決定した内容に沿って、各国がどの様な法規制で対処しているかを問うものです。日本では、昨年、直接的に25%以上の出資をしている者の報告義務が課され、今年619日にパブリック・コメントに付されたJAFICの原案では直接・間接の合算で25%以上の出資をしている者の報告義務が課されることが提示されたことを回答に盛り込みました。

今回の回答に対するドイツ本部での反応もよく、日本が動き出したと捉えております。

トランスペアレンシー・インターナショナル及びトランスペアレンシー・ジャパンでは「国際的な透明性戦略2016-2020年-法規制執行と正義のための活動」の中期目標の下に、政府、財界、市民活動において、人々の日々の生活の中で不正のない世界を目指す活動をしていく所存です。

  回答全文

QuestionnaireBOresearchJapan_2015.pdf へのリンク 

参考文献(関係省庁のHPへのリンク)
 

2012216日付公表のFATF「新40の勧告」 財務省 または「改訂FATF勧告の概要」金融庁

20141115日~16日付のG20ブリスベン・サミット(外務省)

G20で固まった「実質的所有者の透明性に関するG20ハイレベル原則」(外務省)

2015619日付のJAFICパブリック・コメント募集内容(e-Gov)
  

2015年8月27日 OECD外国公務員贈賄防止条約の運用状況 Progress Report の発表


トランスペアレンシー・インターナショナルは、”Progress Report " (OECD外国公務員贈賄防止条約の運用状況に関する報告)を発行しました。
http://www.transparency.org/exporting_corruption

以下が日本語要約です。

 先進諸国では「国際商取引において、不当な利得を得るために外国公務員にワイロを送るのをお互いにやめよう」という条約を結んでいます。これがOECD外国公務員贈賄防止条約です。日本は不正競争防止法によって運用しており、先月30日に経済産業省が「外国公務員贈賄防止指針」を5年ぶりに改訂し、体制を強化したところです。本条約はOECD加盟国以外にも開放されており、現在締結国は41か国です。
 この条約の特徴は監視機能があることです。OECD内に贈賄作業部会があり、腐敗防止の啓発活動を行う国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)が構成員となり、各国の運用状況をとりまとめ、毎年報告書を出しています。

 41の署名締結国は世界の輸出の2/3(金額ベース)を占め,海外直接投資の約90%のシェアを占めるため,国際社会に対して大きな責任があります。そのため、市民団体であるTIは、本部と各国支部が共同で、贈賄防止条約の履行状況について監視し、毎年独自の報告書を出しています。報告書は今年で11冊目(11年目)となり、本条約の運用状況を知るための有益な情報源となっています。

 2014年の運用状況報告”Exporting corruption: progress report 2015- Assessing Enforcement of the OECD convention on combatting foreign Bribery”(ワイロの輸出、OECD外国公務員贈賄防止条約の運用状況の評価) では、締結国の運用状況を、各国の前年の捜査 ・訴追件数をもとに4段階に分け評価しています。

運用に熱心な国:アメリカ、ドイツ、イギリス、スイス

ほどほどに運用している国:イタリア、カナダ、オーストラリア、オーストリア、ノルウェイ、フィンランド

限定的に運用している国: フランス、オランダ、韓国、スウェーデン、ハンガリー、南アフリカ共和国、ポルトガル、ギリシャ、ニュージーランド

ほとんど、またはまったく運用していない国:日本、ロシア、スペイン、ベルギー、メキシコ、ブラジル、アイルランド、ポーランド、トルコ、デンマーク、チェコ、ルクセンブルグ、アルゼンチン、チリ、イスラエル、スロバキア、コロンビア、スロベニア、ブルガリア、エストニア
(締結41国中、ラトビア(14年締結)、アイスランド(世界貿易におけるシェアが小さいために除外)を除く39カ国が監視対象)

 アメリカでは2014年に17件の捜査が始まり、2件が訴追されました。日本は2014年には捜査、訴追ともゼロでした。トランスペアレンシー・インターナショナルは日本など運用に熱心でない国々に運用強化を勧告しています。
運用に熱心で罰金が高額な国への批判がありますが、トランスペアレンシー・インターナショナルは「外国公務員贈賄の捜査には莫大な経費がかかる。その費用を税金として善良な国民に負担させるのではなく、違反企業に負担させているので妥当」と考えています。

日本に関する記述
・日本、ハンガリー、ポルトガル、スロバキア、南アでは外国公務員贈賄捜査のための予算と研修を増やすべきである。
・制裁の妥当性:チリ、日本、ニュージーランドでは外国公務員贈賄の被告への制裁が不十分である。
・アメリカでは他国にくらべ運用に熱心であり、捜査を和解で終わらせる場合が多い。これは検察、被告の双方にとって申し立ての手続きが複雑で判決に至るまでに金と時間がかかるとからである。フランスや日本でも司法取引の新設が検討されている。

(訳 若林亜紀、日本の執行状況の報告者 大塚祐一、岡野直幸、藤野真也)

2015年7月10日 IACC 世界腐敗防止大会のお知らせ

9月2-4日、マレーシアのクアラルンプール近郊でIACC 世界腐敗防止大会があります。
これはトランスペアレンシー・インターナショナル主催、国連開発計画などの後援で二年に一度、オリンピックのように世界の各都市を回って行われます。

今年は3日間に渡り、次の話題でセミナーやワークショップが開かれます。

政党、安全保障、開発などにかかる腐敗、性の搾取、情報公開、司法による取組、国際水際作戦
日本でも話題のクロスオーナーシップ、不正送金、不正利得の返還、中南米の腐敗
http://16iacc.org/full-agenda/


1.ウェブ中継

会議は英仏の同時通訳がついて、ウェブ中継される予定です。
皆様が関心のある議論を日本にいながらにして無料で視聴することができます。
企業のCSR業務の一環としてもご視聴をお勧めします。

2.参加者募集

大会は一般参加者の登録を受付中です。
個人参加のほか、視察、研修の一環としてのご参加もお勧めします。

3.費用

参加費は有料で250-750ユーロです。
周辺ホテルでの宿泊割引もあります。

http://16iacc.org/registration/

2015年7月10日 若手ジャーナリスト募集 マレーシアに招待


IACC世界腐敗防止大会で広報・報道の手伝いをしてくれる35歳以下のジャーナリストを募集しています。
大会本部で選考に合格すると、旅費・滞在費無料です。実績あるブロガーでも可。
英語、フランス語で会議が行われるので、どちらかの言語で取材できることが条件です。
以下からご応募ください。
日本語で報道してくれる方は選考の上、トランスペアレンシー・ジャパンから推薦をいたしますので簡単な自己紹介を添えてトランスペアレンシー・ジャパン宛てメールでお問い合わせください。
大会本部
http://16iacc.org/game-changers/young-journalists/
トランスペアレンシー・ジャパン
information@ti-j.org<information@ti-j.org

2015年7月1日 アジア刑法財団「安全な国 日本」でCPIが紹介されました

堺屋太一氏責任編集、公益財団法人アジア刑法財団(ACPF)発行の「データで見る 安全な国 日本」2015年版でトランスペアレンシー・インターナショナルのCPIが紹介されています。500円です。3冊寄贈を受けました。
日英対訳で犯罪統計、交通事故死者統計、世界汚職認識度マップ、汚職検挙者数、警察官・検察官・裁判官・弁護士数の国際比較、寿命、時に係数、保護司数が紹介されています。

2015年1月26日 日本テレビ「世界まる見え!テレビ特捜部」にワイロの調査協力

1.今晩のテレビをご覧ください。
 「世界まる見え! テレビ特捜部」日本テレビ 午後7時ー8時45分
 
 年明け早々、テレビ局より問い合わせがありました。
 「ケニアでは、生徒会長選でお菓子やヤギを配るなどのワイロが横行しているそうですが、本当でしょうか?」
 所ジョージさんとビートたけしさんののバラエティで、ドキュメンタリーを放映するとのこと、TI-Jで裏取り調査をしました。
 TIのケニア支部や、ケニアで援助活動をしているリトル・ビーズ・インターナショナル代表の高橋剛氏(TI-Jプログラム・オフィサー)に事情を聞きました。
 また、TIの「世界ワイロ白書」とでも言うべきTIの”Global Corruption Report" の2013年版にも「教育における腐敗」特集があります。

 ぜひご覧ください。
 http://www.ntv.co.jp/marumie/

 リトル・ビーズ、ニーズインターナショナルのウェブサイト
 http://www.littlebeesinternational.org/
 

2014年 12月 4日  「2014年 TI腐敗認識指数(CPI)の発表」
          
トランスペアレンシー・インターナショナル本部発表

 汚職・腐敗防止活動を展開する国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(略称TI、本部ベルリン)は12月3日、2014年(201212月~20139月を調査対象とする)「CPI(認識指数、corruption perception index)」を発表しました。記者発表の概要をお知らせします。 

 この指数は、腐敗とは「与えられた権限を濫用して私的利益を得ること」というTIの定義に基づき、各国の公務員や政治家などが賄賂などの不正行為に応じるかどうか、つまり公的部門と民間との関係における腐敗度を調査と評価により数値化してランキングしたものです。この種のものとしては、最も信頼が高いものとして世界的に知られており、日本の大手企業においても、贈賄リスク対策やコーポレートガバナンスの教育資料に使われています。 
 今年の日本の得点は100点満点で76点、第15位(前年は74点、17位)と上昇しました。一位はデンマークで92点です。最下位は北朝鮮、ソマリアです。

 日本の貿易相手国を見てみましょう。輸出相手のトップ4(2013年)の順位は、アメリカ17位、中国100位、韓国43位、台湾35位です。輸入相手国トップ5では中国(同)、アメリカ(同)、オーストラリア11位、サウジアラビア55位、アラブ首長国連邦25位です。 

 今年は中国の後退が目立ちます。中国、トルコ、アンゴラではこの4年で経済成長が4パーセント以上あったにもかかわらず、清廉度が大きく後退しています。これらの国々では、政府首脳と高官が権力の乱用により不正蓄財を行い、外国企業に資産を預けています。ブラジルやインド・ロシアの石油企業において典型的な嫌疑が明るみに出ました。中国企業ではこの春、各国の首脳分を含む22000件の個人情報が流出して問題になっています。
 
なお、129日は国連腐敗防止デーです。

2014年 10月 23日  「外国公務員への贈賄防止条約の履行状況、日本は最低ランク」
          
トランスペアレンシー・インターナショナル本部発表

 腐敗の少ない社会の実現を目指す国際非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)」はこのほど、外国公務員への贈賄防止条約について、締結41カ国の取り組み状況を報告書にまとめました。日本は2010-13年の4年間で有罪に至ったのが1件で、4段階評価で最低ランクでした。
 調査対象は経済協力開発機構(OECD)の外国公務員贈賄防止条約を締結した国々。TIは新興国を含む締結国の立件状況を「積極的」「適度」「限定的」「ほとんどない・不履行」の4段階で評価。
 積極的に摘発しているのは厳しい贈賄禁止法がある米国、ドイツ、英国、スイスの4か国です(若林)。

http://www.transparency.org/news/feature/how_do_we_stop_countries_from_exporting_corruption

2014年 10月16日 最近の事務局

8月
ドイツからインターンのポールさん(22歳)が来日しました。
オランダの大学を卒業、ドイツ政府の奨学金を得て来日しました。ドイツでは、大学生・大学院生だけでなく、インターンにも奨学金を出すそうです。この制度は安倍首相も真似して、日本でも始まるそうです。 今は日本語を勉強しながら、事務局の仕事を手伝ってくれています。
 
9月
TISによる、外国公務員贈賄防止法のアジア・太平洋地域での研修がマレーシアのクアラルンプールで開かれ、若林が参加しました。オーストラリア、ニュージーランド、韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、インド、モンゴルのスタッフが参加しました。各国の贈賄法制と実態について意見交換しました。
 
同月、TI台湾共催で台湾民主化協会によるアジア地域NGOの交流会が台北で開かれ、マレーシアの帰りに寄りました。
NGOの交流といっても、台湾外務省が資金を出している公式で大がかりな会です。台湾外務省の課長によれば、「台湾は国連で国と認められてないので外交に制約がある。だからNGOにお金を出して外交の一翼を担ってもらう」とのことでした。
台湾では街の食堂で夕食を取りました。日本円にして50円ほどでもちもちのおいしい水餃子が出てきます。お客さんは仕事中に夜食を取るサラリーマンや親子連れでいっぱい。台湾は女性の社会進出が盛んで、夕食は妻が作るのでなく、親子で外食することが多いのだそうです。安くておいしいのでうらやましく思います。
 
また、9月はアメリカのNGO、グローバル・インテグリティ主催の「選挙と金」の50か国調査に参加しました。選挙にまつわる法制や実際にかかる費用、ワイロについての調査です。私自身の選挙体験を思い出し、六法全書で確認しながら回答しました。
 
10月
モンゴルでTI主催のモンゴル国内向け腐敗防止の啓発大会が開かれました。大統領も参加する大がかりなイベントです。モンゴルはこれまでは経済成長が年率20パーセントと著しく、その9割は鉱山採掘だそうで、外国企業が採掘の許認可権を巡って地方公務員にワイロを送ることが横行しており、国を挙げて反腐敗に取り組むそうです。TI-Jからは会員でプログラム・オフィサーの高橋剛氏が参加し、日本の現状について講演をしました。



2014年 10月1日 理事長交代

6月の総会を経て、7月の理事会にて事務局長であった若林亜紀が理事長に就任しました。
どうぞよろしくお願いします。

2014年 4月13日 「世界からワイロをなくす読書会」報告書

2013 年 11 月から 2014 年 3 月まで、 企業の法務部・CSR部、弁護士に呼びかけ、贈賄防止の約や欧米法、国際指標の書籍や資料を毎月1冊ずつ読んで議論をする「世界からワイロをなくす読書会」を開きました。
「世界からワイロをなくす読書会」報告書・動画(一部)

2014年 3月17日 「世界からワイロをなくす読書会」
          最終回 『世界の汚職、日本の汚職』テキスト

課題図書が売り切れたため、ご参加の方は、以下URLよりテキスト資料をダウンロードしてください。
http://www.ti-j.org/5_text.pdf

テーマ: 『世界の汚職、日本の汚職』
講 師: 石井陽一 TI-J前理事長 神奈川大学名誉教授 
課題図書 『世界の汚職、日本の汚職(平凡社新書)  

■開催 概要
日時:2014年3月20日(木) 15:30~17:00
   (15:00  開場 15:3017:00 講義 17:00-17:30 質疑応答)
会場:英国大使館ニューホール
住所:東京都千代田区一番町1(東京メトロ半蔵門駅下車3分)
対象:企業の法務、コーポレートガバナンス、法令順守、CSR担当者、弁護士
定員:30名  
会費:無料

理事・事務局長 若林亜紀

2014年 2月28日 国連グローバルコンパクト・ジャパン・ネットワークで講演

2月25日(火)腐敗防止分科会 拡大開催
火曜日に更新 · 東京ウィメンズプラザ 視聴覚室で撮影

本日2月25日(火)、東京ウィメンズプラザにて腐敗防止分科会をGC-JN会員の皆様へもご案内し拡大開催しました!
今回は、講師として、トランスペアレンシー・インターナショナルUKの調査部長であるマーク・パイマン氏をお招きし、「官民双方における汚職対策」をテーマとしたご講演をいただきました。講演の冒頭では、独立非営利組織としてのトランスペアレンシーの設立背景を説明いただきました。UKやスカンジナビアなど世界における汚職問題の具体的な事例や、汚職に関する問題の程度と影響についても歴史と国際的なトレンドを交えつつご説明いただき、問題解決のために企業がどのような施策をとるべきかのヒントをたくさん提示していただきました。
後半の質疑応答では、企業が腐敗防止プログラムを持つこと、ウェブに情報公開をすることへのメリットは何? 企業に腐敗防止に関する独立部署を設けるべき? ファシリティペイメントに関する考え方は? など企業として、企業担当者として腐敗防止に取り組む上での質問が参加者より次々と挙がりました。
講演の中で、パイマン氏からも参加者へぜひ質問をしてみたいとの発言があり、トランスペアレンシーが実施しているサーベイに含まれる「倫理及び反汚職プログラム」の5つの構成要素について参加者の企業がどの分野が最も弱いかについて挙手制で確認を取ったところ、最も挙手数が多かったのは「Risk Management」次いで、「Training」と「Leadership, Governance & Organisation」が同率、次に「Personnel & Helplines」。最後に「Company Policies & Codes」という結果になりました。パイマン氏によると、この結果は国ごとに異なるということで、日本企業の傾向を顕著に表すものになったようです。
2013年度に新規発足となった腐敗防止分科会も会を重ねる中で新規メンバーが加入となったり、このような拡大開催の機会に多くのGC-JN会員の皆様にご参加いただいたりと関心度の高まりをひしひしと感じます。今後も益々、腐敗防止分科会の活動が発展することを期待しています!

(国連グローバルコンパクトジャパンネットワークのフェイスブックより、許可を得て転載しました。http://www.facebook.com/ungcjn

理事・事務局長 若林亜紀


2014年 2月26日 TI-Jの認証が承認される

2月26日、ベルリンのトランスペアレンシー・インターナショナル本部から、トランスペアレンシー・ジャパンを公式な日本支部として認証するという通知が来ました。3年に一回更新があり、最近の活動や今後の活動計画を提出して審査を待っていたところです。

理事・事務局長 若林亜紀


2014年 2月24日 「世界からワイロをなくす読書会」の国際セミナーを開催

昨秋から英国大使館の後援を得て、「世界からワイロをなくす読書会」を開いています。発展途上国ではワイロが当たり前と思われている国も多いので、OECDでは、先進国が示しあわせて、「国際ビジネスをするときは相手国の公務員にワイロを払うのをやめましょう」という条約を結んでいます。また、米英には独自の厳しい贈賄防止法があり、それは両国に進出する日本企業にも適用されます。そして、その履行監視をトランスペアレンシー・インターナショナルが行っています。
読書会はその法律を勉強する実務的な勉強会で、それを通じてトランスペアレンシーの理念である「公正で効率的な社会の実現」をめざすパートナーとなってくれる企業を増やそうという活動です。
その拡大回で、2月24日にトランスペアレンシー・UKの専門家や上海、香港の弁護士を招き、英国大使館で国際セミナーを開きました。60の大企業から70名の法務や社会貢献の担当者が集まり、大盛況でした。
詳しくは、後日報告書を出しますが、私がジャーナリストとして興味をもったのは、多くの企業で不祥事の多くが内部告発によって発覚しているということ。トランスペアレンシー・UKのマークパイマン調査部長は、「弁護士を雇ったり、監査人を置いたり、不正防止体制を敷いたりといったことに大金をかけるより、内部からの告発に耳を傾けること、これで大きな不祥事が防げる」と発言しました。
懇談会には若狭勝さんをはじめ、取り締まる側だった元検察官の弁護士の方も来ていて、貴重なお話も聞けました。検察の捜査も、多くは内部告発が端緒だそうです。若狭さんは「信頼できる内部告発とそうでないものを見分けるコツがある」と言うので、こっそり教えてもらいました。

理事・事務局長 若林亜紀

2014年 2月 6日 国際セミナーのお知らせ

NPO法人トランスペアレンシー・ジャパン(TI-J)では国際セミナーを開きます。
本セミナーは、昨年から英国大使館の後援を受けて行ってきた「世界からワイロをなくす読書会」の拡大会となります。

テーマ:海外進出における贈賄法制「英国Bribery Actの外国企業への適用の実際」
副 題:「国際企業は、英国Bribery Actに対してどのように対応しているのか?」

国際セミナーのお知らせ(詳細)
国際セミナー参加申込書

理事・事務局長 若林亜紀

2013年 12月 9日 国際腐敗防止デー

今日は国際腐敗防止デーです。
2003年にメキシコのメリダにおいて「国連腐敗防止条約」が署名された記念日です。
http://www.unic.or.jp
また、イギリス大使館の関連リンクに「世界からワイロをなくす読書会」が紹介されています。
https://www.gov.uk

理事・事務局長 若林亜紀

2013年 11月14日 トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の年次総会

2013118日から10日まで、ドイツのベルリンでTI年次総会が開かれ、世界110か国の支部から代表が集まりました。TI-Jからは理事長の代理として、私、理事で事務局長の若林亜紀が出席いたしました。 

総会に先立ちトランスペアレンシー・インターナショナル20周年記念会議が開かれ、ハグリット・ラベル会長のあいさつの後、コフィ・アナン前国連事務総長がビデオで祝辞を寄せ、世界銀行の企業倫理部長などが出席して公開討論を行いました。また、TI倫理大賞には、中国での報道規制に負けずブログで情報を発信し続けたジャーナリストなどに贈られました。
http://www.transparency.org/getinvolved/awardwinner/luo_changping  

また、企業倫理や贈賄法制に関する分科会が行われました。以下が私が4日間の間に参加した分科会一覧です。今後のTI-Jの活動を通して、日本会員の皆様にお伝えしていきます。

G20 Advocacy, Public Sector Integrity, Digital Security, Corruption in Sports, Business Integrity, Gender policy, Parliaments and the fight against Corruption , Financial Integrity, Exporting Corruption Report, No impurity, CPI, Business Principles for countering bribery, Corporate Supporters, Transparency in Corporate Reporting, Open Governance, Making strong governance  

総会では、活動報告の後に、公益通報の保護などの新方針が決議されました。TIはOECDとG20への公式招待NGOであるため、国際政治への働きかけもしていきます。最後に理事2名の改選があり、スリランカの代表が再選、インドネシアの代表が初当選、フランスの代表が落選しました。 

総会のもう一つの目的は、本部との連携と各国支部とのきずなの強化です。

・私は本部の公益通報保護部門と協議、日本の公益通報支援への約束をとりつけました。
・また、TI-Jに外国のワイロ法制について企業からの問い合わせが増えたため、とりわけ日本との貿易の多い、中国、台湾、韓国、タイ、インドネシア、ドイツなどの支部に協力を要請しました。会員企業にTIの支部をご紹介したり情報を仲介いたします。
・また、厳しい贈賄法制をもつことで知られる英国、米国の支部とも会談、会員企業の法務部門に最新情報の提供をいたします。

反腐敗の普及・啓発のため、国際ネットワークを生かした連帯と専門情報の提供がTIの柱であると確認した総会でした。
 

理事・事務局長 若林亜紀

2013年 11月 1日  「外国公務員への贈賄防止、日本は最低ランク、NGO『取り組みに遅れ』
          
日本経済新聞10月13日

各国政府の腐敗を監視する非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」はこのほど、外国公務員への贈賄行為防止策について、主要40カ国の取り組み状況を報告書(2013年版)にまとめた。日本は4段階評価で最低ランクだった。(中略)
調査対象は経済協力開発機構(OECD)の外国公務員贈賄防止条約を締結した国々。同条約に基づき、新興国をはじめとした外国公務員への贈賄行為防止策の履行状況を「積極的」「適度」「限定的」「ほとんどない・不履行」の4段階で評価。日本は最低ランクと認定された。(中略)
4段階のうち最高ランクの「積極的」だったのは国内法で外国公務員への贈賄行為を積極的に摘発している米国、ドイツ、英国、スイスの4か国。

理事・事務局長 若林亜紀

2013年 10月21日  「衝撃事件の核心」MSN産経ニュース10月8日

経済協力開発機構(OECD)に加盟する日本は1998年、「外国公務員への贈賄防止条約」を締結。不正競争防止法を改正し、贈賄企業を取り締まる環境を整備した。(中略)
汚職を監視するNPO法人「トランスペアレンシー・ジャパン」(東京)によると、OECD加盟国の2011年までの摘発件数は計708件。(中略)記事URL

理事・事務局長 若林亜紀

2013年 9月 28日  TBS報道特集「公益通報者とジャーナリストをつなぐ夕べ」が放送

TBS報道特集にて、TI-Jが行った4月の「公益通報者とジャーナリストをつなぐ夕べ」の模様が2013年9月28日:
17時より放映される予定です。『告発者を守れない・・公益通報者保護法』
http://www.tbs.co.jp/houtoku/

理事・事務局長 若林亜紀

※番組の都合により、録画放送はカットされました。

2013年 9月 21日  読売新聞「海外汚職、日本 摘発件数わずか」

2013年9月12日付 読売新聞「海外汚職、日本摘発件数わずか」の記事に、TI-J のコメントが掲載されました。
OECD加盟国の2011年までの摘発件数は計708件。トップの米国は275件…

理事・事務局長 若林亜紀

2013年 5月 31日  【明治学院大学 CSR講座】第7回―公正な事業慣行②(腐敗・汚職防止)

6月7日(金)明治学院大学 CSR講座 テーマ「社会的責任―中核主題」
第7回―公正な事業慣行②(汚職・腐敗防止)をテーマに、トランスペアレンシー・ジャパン副理事長の梅田徹(麗澤大学教授)が登壇します。
本講座は、リスクマネジメント協会の寄付講座(12回コース)で、2013年4月から学生・社会人約100名程が参加。連続講座のため、一コマ受講は行っておりませんのでご了承ください。

理事 岡地義隆

2013年 4月 13日  【イベントのご報告】公益通報者とジャーナリストをつなぐ夕べ

4月8日(月)JICA地球ひろばにおいて行いました。
当日は公益通報者、マスコミ関係者、市民活動家、一般の方30名以上が集まりました。
大内穂理事長の開会あいさつ、若林、濱田氏、仙波氏の後、コーヒーブレイクを経て久慈氏のお話を聞きました。

公益通報者がいずれも口をそろえ「公益通報は人生をかけたものになり、通報者への負担が大きい」と訴えました。
久慈氏からは、「情報提供者を守る、裏どりをする」ことを徹底していること、そのための工夫をいろいろ明かしてくれました。あっと驚く仕掛けもあり、マスコミの良心を感じました。

最後に来場者が自己紹介をしました。

公益通報保護法の制定に関わった市民オンブズマンの方が、「秋に公益通報者保護法の見直しがあり、告発者より企業を守る方向に改悪されそうだ」と憂慮を示しました。

最後に、TI本部から来たラン・リヤオ氏が閉幕のあいさつをしました。シラクアジア太平洋部長はフライトの都合で間に合いませんでした。

秋の法改正で、通報者保護が強まるよう、TI-Jとして活動していきます。

参加者の山崎様のご厚意で、当日の模様は以下で見られます。(※ただしこの団体とTI-Jは関係はありません)http://twitcasting.tv/chateaux1000/show/

理事・事務局長 若林亜紀

2013年 2月 8日  台湾のご報告:防衛調達における情報公開の国際比較
先月、台湾で、防衛情報開示度の国際比較調査の発表に伴うシンポジウムがありました。


私は日本の事情を説明するために出席しました。

当日は、マスコミが20社以上出席しました。

情報開示度はドイツ、オーストラリアがトップ、台湾・韓国が次点グループで、日本はその次のCグループに属します。


私は、「日本では2004年に公益通報保護法ができ、昨年は防衛省の若手高官が褒賞絡みの不正を内部告発したが不利益処分を受け提訴中。官僚のマスコミへのリーク、ネット上での匿名告発も増えてる」と発表しました。

台湾メディアからの質問はなかったです。(他の外国人にも質問なし。自国のことのみに関心)

ですが、台湾の外務省の職員が会見後にやってきて尖閣諸島の問題についてにこやかなおしゃべりがてら私見を聞かれました。以下が私の回答。

「右翼的な人々もいるが、多くの国民は戦争を望んでない。防衛省は尖閣対応として予算を増やしたが、それは昨年の発注スキャンダルでヘリコプター開発予算が凍結された代替に防衛省が予算を確保しただけにも思える」(若林)

台湾外務省側 ―台湾も似た状況だ(苦笑い)。ところで、石原氏慎太郎(衆院議員、前都知事)の人気についてはどう考えればよいか。

「国民はこの問題に限らず、日本政府の外国への弱気な対応に長年不満をもってきたので、ノーと言える彼は人気がある。だが、国民が右傾化してるとか好戦的なわけではない」

その後、馬英九総統との会見をはじめ、軍の武器製造部門や法務省、監査院(会計検査院)を訪問しました。

理事・事務局長 若林亜紀
                                           


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〒140-0001
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